浅田正徹氏採譜楽譜(通称「浅田譜」)原稿のデジタル画像化

楽曲別に整理されている『浅田譜』原稿

 浅田正徹氏(あさだ まさゆき、1900-1979)による採譜は、三味線音楽における声(浄瑠璃、唄)と三味線伴奏の旋律を書き記した資料として知られています。採譜の対象は、清元節を中心に、一中節・宮薗節など複数のジャンルにわたります。無形文化遺産部は、その貴重な原稿を芸能部時代にご遺族から一括してご寄贈いただき、整理・保存してきました。資料の概要は、『無形文化遺産研究報告5』に「〔資料紹介〕浅田正徹採譜楽譜」として報告されています。
 浅田譜の製本版(原稿をもとに複写・製本したもの)は諸機関に所蔵され、閲覧できるようになっています。これに加えて当研究所にのみ残る原稿を長く利用できるよう、デジタル画像化を進め、このたび清元節採譜原稿のデジタル画像化を完了しました。
 口承に基づく無形文化財、とくに節回しの多彩な声楽を書き記すことは、機器が発達して録音や画像編集が手軽になった今日でも容易なことではありません。原稿からは、浅田氏が紙を切り貼りしたり、ときには破棄して一から書き直したりしながら、何度も改訂を重ねたことが分かります。デジタル画像を利用することで、慎重な取り扱いを要する原稿原本を傷めることなく、改訂過程に関する研究を今後進められます。
 なお、デジタル画像化の進展を併記した所蔵原稿一覧は、令和4(2022)年2月1日付で無形文化遺産部のホームページに掲載されました。調査研究の進展とともに、随時更新していく予定です。

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