セインズベリー日本藝術研究所とのオンライン協議
令和3(2021)年12月2日に、イギリスのセインズベリー日本藝術研究所と共同研究「日本芸術研究の基盤形成事業」についてのオンライン協議を行いました。東京文化財研究所では平成25(2013)年よりイギリスのセインズベリー日本藝術研究所(以下、セインズベリー研究所)との共同研究を推進しています。セインズベリー研究所のサイモン・ケイナー所長からは新型コロナウイルス感染症の影響による困難な状況の中、事業を継続できていることに対して感謝の意が伝えられ、セインズベリー研究所の理事会でもこの共同研究が重要な国際協働事業であると評価されているとの報告がありました。昨年と同様にオンラインでの協議を行いましたが、この1年間では、継続的なデータベースの更新作業に加えて、東京文化財研究所が刊行している『日本美術年鑑』に掲載している美術界年史(彙報)の記事を英訳し、Art New Articlesとして、東京文化財研究所のウェブサイトに検索可能な状態で掲載することを新たに開始しました(Art news articlesの公開について)。現在は平成25(2013)〜同27(2015)年の3年分の英語版が公開されていますが、今後も翻訳・更新・公開作業を継続して、日本美術に関する国際情報発信を進めていく予定です。
またセインズベリー研究所には、海外で開催された日本美術に関する展覧会の情報を東文研総合検索にご提供いただいています。情報共有と研究交流の一環として、セインズベリー研究所の林美和子氏にアシュモレアン博物館で開催されたTokyo: Art & Photography展の展覧会評を『美術研究』436号(令和4(2022)年3月刊行予定)にご寄稿頂きました。海外の美術展覧会を見に行く機会が激減するなか、海外の状況を知ることができる貴重な記事となっています。ぜひご覧ください。
オンラインでできることも増え、その長所を活かした取り組みも行っていますが、それでも作品調査や、講演を行い、一般の聴衆と意見交換することなどは現地に行かないと不可能です。2年前まで実施していた、研究員が実際に現地を訪問して研究協議と講演を行うような研究交流は、来年度以降に状況を見ながら再開する方針です。