文化遺産国際協力コンソーシアムによる「アフガニスタンの文化遺産保護に関する緊急声明」の発表

「アフガニスタンの文化遺産保護に関する緊急声明」

 アフガニスタン国内における急激な情勢の変化を受け、本研究所が文化庁より事務局運営を受託している文化遺産国際協力コンソーシアムは、令和3(2021)年8月18日付で「アフガニスタンの文化遺産保護に関する緊急声明」を発表しました。全文は以下の通りです。コンソーシアムでは引き続き、関係機関との連携を図りながら現地の情報を収集するとともに、文化遺産保護のための協力に尽力していきます。

「アフガニスタンの文化遺産保護に関する緊急声明」
政情の急変というアフガニスタンの大きな変革期のなか,同国に所在する歴史的文化遺産,とりわけ遺跡や博物館を標的とする不法な略奪や破壊活動が強く懸念される状況となっています。私どもは,貴重な文化遺産が重大な危機にさらされる可能性に対し,深刻な憂慮の念を抱いています。
 文化遺産国際協力コンソーシアムは,我が国が文化遺産保護分野の国際協力において一層の役割を果たすため,関係機関や専門家の連携を推進することを目的として設立されました。2001年以来,アフガニスタンでの活動は,我が国が取り組んできた文化遺産国際協力の歴史の中でも主要な柱の一つとなっており,これまでアフガニスタンや国際機関などと協力して,同国の文化遺産保護に大きな成果をあげてきました。
 文化遺産は人類の歴史を語る共有の宝であるとともに,国民の統合とアイデンティティーの拠り所として,また地域や国家の発展のためにも重要な役割を果たすことが広く認識されています。文化遺産に対する略奪や破壊を未然に防ぐために,すべての勢力や個人に対し,節度を保った冷静な行動を強く求めます。また,世界の人々とこのような憂慮を共有したいと思います。
 ここに,アフガニスタンの文化遺産を保護するための協力への強い意志を表明するとともに,アフガニスタンのすべての人々の安全と一刻も早い状況の安定化を願ってやみません。

2021年8月18日
文化遺産国際協力コンソーシアム
会長 青柳 正規
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