アルバニア・ティラナ大学での意見交換とベラト歴史地区における壁画調査

聖マリア・ブラケルナ教会の壁画
ベラト城内に建つ教会

 文化遺産国際協力センターでは、令和元(2019)年5月19日~5月23日にかけて、海外における文化遺産の保存・修復に係る専門家ネットワーク構築および国際情報の収集を目的に、アルバニアのティラナ大学およびベラト歴史地区を訪問しました。
 ティラナ大学では、エドリラ・チャウシ教授にアルバニアにおける文化財行政の現状や現在抱える問題点、また、文化財保存学の分野を目指す学生のための教育システムについてお話をうかがいました。また、ベラト歴史地区では、ベラト城内にある13世紀から16世紀に建てられた教会を訪れ、内壁に描かれた壁画の技法や保存状態について調査を行いました。なかでも1453年にコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)が陥落し、ビザンティン帝国が滅亡した後に発展したとされる様式(ポスト・ビザンツ)で描かれた壁画の完成度の高さには目を見張るものがありました。この地域の壁画は、過去に修復が行われた痕跡はあるものの、その後の維持管理が不十分であったことから再び大きな傷みが発生しています。エドリラ・チャウシ教授からも、文化財の維持管理に向けた取り組みの弱さが、現在のアルバニアが抱える大きな問題のひとつになっているというお話がありました。
 現在、様々な地域において過去に修復を終えた文化財の維持管理手法が問題視されています。今後も情報収集を継続しながら諸外国の専門家と意見交換を重ね、この問題について日本が支援できる可能性について考えていきます。

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