共催事業「伝統の音を支える技」の開催

楽器製作実演
パネルトーク 左から前原恵美(東京文化財研究所)、橋本かおる(東京藝術大学)
公開学術講座の総括 左から谷垣内和子((社)芸能実演家団体協議会)、前原恵美、田村民子(伝統芸能の道具ラボ)、橋本英宗(丸三ハシモト株式会社)、石村 智(東京文化財研究所)
長唄「多摩川」演奏 左から大島早智、三井千絵、鈴木雄司、都築明斗

 平成30(2018)年8月3日(金)、「伝統の音を支える技」を共通テーマに、「第12回東京文化財研究所 無形文化遺産部 公開学術講座」と「第24回東京三味線・東京琴展示・製作実演会」を、東京文化財研究所と東京邦楽器商工業協同組合の共催事業として開催しました。
 午前は、東京邦楽器商工業共同組合の楽器製作者(箏、三味線)による製作のデモンストレーションと解説、演奏体験・質問コーナーがあり、参加者が楽器製作者と直接対話し、楽器の演奏法を習う貴重な機会となりました。昼休みには、無形遺産部で楽器製作・修理調査を行ってきた担当者が、実例を挙げながらパネルトークを行いました。午後は、公開学術講座として、3名の講演者が異なる立場から日本の伝統の音を支える技に関する問題を提起、課題への取り組みの報告を行ったのち、コメンテーターも加わって情報や問題を整理し、課題解決の糸口について意見を交わしました。最後に、新進気鋭の演奏家による長唄演奏で締めくくり、製作者、研究者、演奏家を繋いで伝統の技を取り巻く様々なレベルでの課題を共有することができました。
 参加者は総計148名と盛況で、楽器や楽器に附属する物の製作者、ジャンルを越えた実演家、研究者や教育者、伝統芸能愛好家など多岐に亘り、伝統芸能を支える技に幅広い関心が集まっていると実感しました。今年度末に報告書を発行するとおもに、今後も、今回得られたネットワークを活かしながら芸能を支える技を多角的に調査し、その保存・継承に資する研究を継続する予定です。

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