東日本大震災から7年を経て

内覧会の様子
展示の様子

 東日本大震災という未曽有の災害から、7年という月日が経過しました。改めまして犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、今なお復興にご尽力されております皆様に心から敬意を表します。今回、岩手県立博物館で3月から5月に開催された津波被災資料を残す価値を総括的に伝える展覧会の機会に、様々な被災資料の処置に関わった各機関の専門家と情報交換を行いました。
 これまでに修復を終えた被災資料が2つの展覧会「明日につなぐ気仙のたからもの-津波で被災した陸前高田資料を中心に-」(平成29年3月3日~3月28日)、「未来への約束―いま語りはじめた気仙のたからもの―」(平成30年4月3日~5月6日)で紹介されました。展覧会開会式では、出席の叶わなかった本研究所亀井伸雄所長代理として山梨絵梨子副所長が来賓挨拶を行い、内覧会では、佐野千絵保存科学研究センター長が保存科学研究センターで行っている被災紙資料の安定化処理に関する研究について解説しました。修復を終えた資料だけでなく、処置前後の状況や処置方法もまとめて展示されており、意欲的な取り組みだと感じました。
 7年間の活動で全46万点の被災資料の内22万点の修復が完了したものの、まだ24万点の資料が処置される日を待っているとのことです。津波被災した資料は膨大な点数であることに加え、保管中の異臭の発生など多くの問題を抱えています。今後とも科学的な面からの研究を通じ、被災資料の修復に貢献していきたいと考えています。

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