特別講演会「ツタンカーメン王墓発掘100周年 エジプト王家の谷発掘調査の現在」の開催

ご発表されるスザンヌ・ビッケル教授
東京文化財研究所は、金沢大学古代文明・文化資源学研究所と共催で、令和5(2023)年4月30日、東京国立博物館平成館大講堂にて、特別講演会「ツタンカーメン王墓発掘100周年 エジプト王家の谷発掘調査の現在」を開催しました。本講演会は、ツタンカーメン王墓発掘100周年を記念し、王家の谷と呼ばれる古代エジプトのネクロポリスにおける発掘調査の最新成果を広く一般の方に知っていただくことを目的に企画しました。
基調講演には、スイス・バーゼル大学で王家の谷プロジェクトを率いるスザンヌ・ビッケル氏・バーゼル大学教授をお招きしました。ビッケル氏は、平成23(2011)年~平成24(2012)年に王家の谷で第64番目となる墓を発見された、当該分野の研究を牽引する研究者のおひとりです。講演会では、同大学のプロジェクトが近年発掘調査を行った古代エジプト新王国時代第18王朝アメンヘテプ3世の家族や王宮の女性たちが埋葬された墓(王家の谷第40号墓)について、考古学的および人類学的研究成果を発表されました。また、この墓と同時期に造営されたアメンヘテプ3世の王墓を発掘調査した近藤二郎氏・早稲田大学名誉教授、ならびに第18王朝の謎の女王ネフェルネフェルウアテンについて研究されている河合望氏・金沢大学教授からもご講演をいただきました。
当日は275名の来場者を迎え、発掘調査成果に基づく考古学的専門性の高い内容を多くの方にお届けすることができました。今後も、調査研究成果の還元のため、同様の会を積極的に開催していく予定です。