ネパール人専門家の招聘及び地震被災文化遺産に関するセミナーの開催

セミナーの様子
日光輪王寺の修理工事現場にて

 2015年4月25日に発生したネパール・ゴルカ大震災によって被災した文化遺産の状況と、それに関連するこれまでと今後の活動についての情報をネパール・日本両国の関係者間で共有することを目的として、2月5日に「2015年ネパール・ゴルカ地震による被災文化遺産に関するセミナー」を東文研地下会議室にて開催しました。
 本セミナーは、文化庁から東文研が受託した文化遺産保護国際貢献事業「ネパールの被災文化遺産調査事業」の一環として開催したもので、これに伴い、同国の文化遺産保護行政を代表して文化・観光・民間航空省考古局長(べシュ・ナラヤン・ダハル)、カトマンズ王宮を管理する同王宮博物館発展委員会事務局長(サラスワティ・シン)、UNESCOカトマンズ事務所文化担当官(ナバ・バスニャット・タパ)の3氏をお招きしました。セミナーでは、まず各氏から地震後の状況や復興対応等についての発表があり、これに続いて本事業に参加いただいている日本人専門家から各専門分野における調査結果の中間報告が行われました。現地ではなお困難な状況が続く中、双方が最新の情報を共有し、討議を通じて被災文化遺産への対応等に関する意見を交換することができました。
 翌日には、日本の歴史的建造物修理技術についてネパール人専門家に理解を深めてもらうため、日光輪王寺三仏堂および東照宮陽明門の保存修理工事現場を見学しました。輪王寺の現場で取り組まれている「虫損木材の保存修理」など、ネパールの文化遺産にも共通する課題については特に関心が高く、現場監理を担当されている修理技術者や同行した日本人専門家からの説明をもとに、積極的な質問や意見が交わされました。
 これから本格化するネパールの被災文化遺産修復活動に向けて、さらに継続的な調査等を通じて適切な技術支援を行っていきたいと考えています。

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