欧州専門家との石造文化財の保存修復に向けた共同研究(その2)

石材片の接合実験
石造彫刻保存修復現場の視察調査

 文化遺産国際協力センターでは、石造文化財のより良い保存修復手法の確立を目指し、欧州専門家との共同研究を進めていいます。
 令和6(2024)年7月1日~6日にかけてイタリアのフィレンツェを訪問し、国立修復研究所や国家認定文化財修復士の方々の協力を得ながら、日本国内には流通していない修復材料を用いた石材表層面の補強や石材片の接合について実験研究を行いました。
 また、16世紀にメディチ家によって造園されたボーボリ庭園に設置された石造彫刻を対象に行われている保存修復作業の現場を訪問し、亀裂や層状剥離、欠損箇所への充填といった様々な傷みへの対処法について見学し、知見を深めました。なかでも、屋外環境下で発生しやすい生物劣化を抑制するための対処法は大変興味深く、保存管理の負担軽減にも繋がるものです。わが国においても効果が期待できることから、大きな収穫となりました。
 今後も、実験研究や事例調査を継続するとともに、当該分野に係る専門家と繋がりを深めながら、日本国内の石造文化財の保存修復への応用も視野に入れつつ研究を続けていきます。

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