標津町との文化財修復材料の連携・協力に関する協定書の締結

標津町長と当研究所長記念撮影
ノリウツギに関するパネル展示と当研究所玄関ロビーの動画上映

 東京文化財研究所と北海道標津郡標津町の間で連携・協力に関する協定書が結ばれ、令和5年(2023)11月2日、協定記念式が開催されました。標津町は途絶えかけていたノリウツギの採取を町の事業として行なって下さっていますが、その過程で必要となるノリウツギの保存方法に関する検討やネリの性質の解明など科学的な交流、情報の交換・提供について協定を締結しました。ノリウツギは、掛軸の修復には欠かせない宇陀紙の材料で、標津町の事業が確立することで、安定的な材料の供給が可能となります。
 記念式には所長・齊藤孝正をはじめ4名が赴き、標津町長・山口氏、齊藤からご挨拶いただいた上で、記念の署名が行われました。
 その後、講演会が開催され、保存科学研究センター長・建石徹から「わが国の文化財保護における標津町の役割」として伊茶仁カリカリウス遺跡の整備など標津町と文化財保護との深い関連をお話しいただいた後、保存科学研究センター修復材料研究室長・早川典子から「文化財の修復とノリウツギ」と題し、ノリウツギ採取における標津町の重要性をお伝えしました。
 講演会場では、ノリウツギや宇陀紙に関するパネルや資料の展示、当研究所が作成して玄関ロビー展示で使用している動画の上映も行われ、町内から多くの参加者が出席しました。
式の前後では実際のノリウツギの視察もでき、今後の研究と現場との交流により、文化財修復に資する成果が期待されます。

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