ネパールにおける文化遺産被災状況調査(その2)

カトマンズ・ハヌマンドカ王宮アガムチェンでの被災状況調査
被災建物回収部材の管理と記録に関するワークショップ
コカナでの被災状況調査

 文化庁委託による標記「文化遺産保護国際貢献事業」の一環として、11月21日から12月8日まで、ネパールでの現地調査を実施しました。
 今回の調査では、9月におこなった世界遺産「カトマンズ盆地」周辺における被災文化遺産の概況調査の結果を踏まえて、構成資産であるカトマンズ・ダルバール広場と、暫定リスト記載で古い街並が残るコカナ集落を対象としました。
 カトマンズ・ダルバール広場では、建築班による「被災状況調査」、構造班による「3D計測」「常時微動計測」を実施しました。また、緊急的保護対策として、倒壊した建造物から回収された部材の適切な管理と記録について、部材の整理・格納を試行するとともに、記録手法の検討をおこない、この課題に取り組む現地の職員へのワークショップを通じてタイミングよく参考例を示すことができました。
 一方、コカナでは、沿道の建造物の「被災状況」「形態変容」「構造」のほか、「無形文化遺産」「水質」等の多角的な調査を実施しました。被災した歴史的都市における「迅速な住居の再建」と「歴史的な街並の継承」という二つの課題は、被災住民からは相反するものとして捉えられがちです。しかし、この難題に立ち向かって歴史継承に意欲的な現地住民組織『コカナ再生・再建委員会』と連携し、文化遺産の視点からの情報を的確に収集することで、再建計画の立案に寄与すべく調査をおこないました。
 今後も継続的な調査を予定しており、その成果を現地側へ迅速に還元できるよう努めていきたいと思います。

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