バーレーン王国における文化遺産の3Dデジタル・ドキュメンテーションとその活用に関するワークショップ開催

写真測量による3Dモデル作成に取り組む受講者
写真測量による3Dモデル作成に取り組む受講者

 文化遺産国際協力センターでは、令和5(2023)年12月24~27日の4日間にわたって、バーレーン王国の文化遺産担当の専門職員らを対象に、3Dデジタル・ドキュメンテーションの技術移転とその後の活用方法の事例紹介・意見交換を目的としたワークショップを開催しました。バーレーン王国では、文化遺産の記録や保護と活用に関する様々な課題を解決していくための一つの方法として、3Dデジタル・ドキュメンテーションの導入を進めようとしています。本ワークショップは、そのための技術移転の要請を受け、令和5年度文化遺産国際協力拠点交流事業(文化庁)として実施しました。
 受講者は総勢15名で、それぞれ博物館学、保存科学、保存修復、考古学、建築学など様々な専門分野をもち、うち2名は近隣のアラブ首長国連邦とクウェートからの参加でした。
 3Dデジタル・ドキュメンテーションの各手法について講義を受けた後、受講者はそれぞれ博物館の展示品から1つを選び、写真測量により自分自身で1から3Dモデルを作成する課題に取り組みました。トライ&エラーを自ら経験することで、受講者はモデルを作成し、その後の活用を考えるまでの技術と知識を習得しました。最終日の討論では博物館の展示解説の充実度の向上や、保存修復過程の記録としての利用、デジタル博物館の構想や国内外へのプロモーションへの活用など、作成した3Dモデルを活かしていくための各自のアイデアが積極的に話し合われました。バーレーン王国に限らず、湾岸諸国では豊富な文化遺産が育まれている一方で、文化遺産を保護・活用する人材の不足が懸念されていますが、こうした効率的な手法を学ぶことで、それらの課題の一部が解決されることが望まれます。

to page top