シンポジウム「大エジプト博物館のいま ファラオの至宝をまもる2023」の開催

ツタンカーメン王の副葬品修復に関するパネルトーク
シンポジウムの登壇者一同

 東京文化財研究所は平成20(2008)年から平成28(2016)年まで、カイロに新設される大エジプト博物館(Grand Egyptian Museum)に対する開館支援事業を独立行政法人国際協力機構(JICA)から受託し、収蔵品の保存修復のための人材育成と技術移転の研修を実施しました。
 同博物館の開館をいよいよ間近に控え、上記の当研究所受託事業を含む日本からの支援について広く周知することを目的として、シンポジウム「大エジプト博物館のいま ファラオの至宝をまもる2023」を開催しました。大エジプト博物館と独立行政法人国際協力機構(JICA)、当研究所の三者共催により、令和5(2023)年8月6日に東京国立博物館平成館大講堂で行われた本シンポジウムには、エジプトからアーテフ・ムフターフ博物館総責任者とアイーサ・ジダン保存修復執行部門長の両氏も招聘しました。
 大エジプト博物館は、単一文明を扱った博物館としては世界最大規模となる予定で、三大ピラミッドが所在するエリアに隣接する巨大な施設は開館前から注目を集めています。シンポジウムでは、まずアーテフ・ムフターフ氏より、博物館の全体像やツタンカーメン王の副葬品展示室が紹介されました。続いて、別館に展示するため日本隊が復元を進めているクフ王第2の船について、吉村作治教授(東日本国際大学総長)とエジプト側担当者のアイーサ・ジダン氏によって最新の成果が発表されました。さらに、ツタンカーメン王の副葬品を実際に保存修復した研究者らによる成果発表、そして、大エジプト博物館への期待をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。
 本シンポジウムは、開館前の博物館の様子だけでなく、これまでの日本による開館支援活動の全体像をまとめて紹介する好機となりました。当日の講演内容は、近く、当研究所ホームページ等で公開される予定です。

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