聖ミカエル教会(ケシュリク修道院)での保存修復研究計画立案に向けた調査の実施

聖ミカエル教会外観
煤汚れのクリーニングテスト

 中央アナトリアに位置するカッパドキア(トルコ共和国)は、凝灰岩の台地が長い時間をかけて侵食された結果、変化に富んだ奇岩群を生み出し、昭和60(1985)年には「ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群」としてユネスコの世界遺産リストに加えられました。紀元2世紀以降、この地にキリスト教徒が移住を始めると、彼らの手によって1000箇所以上とも言われる岩窟教会や修道院が築かれ、その内壁に壁画が描かれるようになりました。
 前年度にアンカラ・ハジ・バイラム・ヴェリ大学とともに実施した事前調査の結果、聖ミカエル教会(ケシュリク修道院内)に描かれた壁画を対象として文化財保存修復に係る共同研究事業を開始することが決定しました。これを受けて、令和5(2023)年6月15日~22日にかけて現地を訪問し、具体的な研究計画を立案するための調査を行いました。そして、壁画表面を覆う煤汚れの除去や、岩盤支持体から剥離してしまった漆喰層の保存処置を研究テーマとして位置づけることが合意されました。
 今後は現地専門家と研究課題を共有しながら、トルコ共和国における文化財の保存修復に広く貢献できるよう、活動を進めていきます。

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