第41回オープンレクチャー

11月2日、江村が「光琳の目と手」と題する発表を行いました。
11月3日、山梨が「矢代幸雄と美術研究所」と題する発表を行いました。
山梨は近代日本洋画の父と仰がれた黒田清輝とその作品についても語りました。
近代日本洋画の父黒田清輝は美術研究所設立の立役者でもありました。
11月3日、荒屋鋪透氏は「黒田清輝の+体験 -芸術家村グレーから黒田記念館へ」と題する発表を行いました。

 当所では、美術史の研究成果を広く知って頂くための活動の一環として、毎年秋に1回2日間にわたってオープンレクチャーを開催しております。昨年までは美術部の主催でしたが、機構改革に伴い本年より企画情報部が受け継ぎ、今年で41回を数えることとなりました。
 本年は、11月2日(金)には、江村知子「光琳の目と手」、中部義隆(大和文華館)「矢代幸雄の琳派観」と題し、近世絵画、とりわけ国際的にも評価の高い琳派を中心に研究発表が行われました。江村は、江戸時代における尾形光琳の芸術性を、主に「四季草花図」(津軽家旧蔵・個人蔵)という彼の作品を通して同時代の視点で探究しました。また中部氏は、近代に至って琳派作品がどのように見出され、評価されていったのかを、矢代幸雄という日本における美術史学草創期の研究者の目を通して跡づけられました。
 11月3日(土)は、山梨絵美子「矢代幸雄と美術研究所」、荒屋鋪透(ポーラ美術館)「黒田清輝の+体験 -芸術家村グレーから黒田記念館へ」という2名の講師による近代美術史に関わる研究発表が行われました。山梨は、当研究所の前身、昭和5年に設立された美術研究所の初代所長でもあった矢代幸雄が構想した美術研究所の具体像を考察しました。また荒屋鋪氏は、日本の美術制度の形成に大きな役割を果たし、美術研究所設立の立役者でもあった黒田清輝が、フランス留学、とりわけパリ近郊のグレー村における芸術体験から得たものを具体的に示されました。
 いわゆる文化財に対する関心は、年々高まっているようです。今後も、よりいっそう美術研究を進展させ、作品の持つ豊かさを多くの人に伝えていきたいと思います。

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