モンゴル・アマルバヤスガラント寺院における研修およびワークショップ

保存管理計画ワークショップ
建造物保存修復調査風景1
建造物保存修復調査風景2

 文化庁委託・拠点交流事業の一環としてモンゴル教育文化科学省と共同で行っているモンゴル・アマルバヤスガラント寺院での活動も3年目となります。本年は6月下旬および8月下旬の2度にわたり、協力ミッションを派遣しました。
 昨年度のワークショップで検討した内容に従って本年4月、文化遺産法に基づく保護区を設定する決定がモンゴル政府によって行われました。この保護区は、寺院本体だけでなく、周囲の景観や、寺院建設に関連する考古学的遺跡、さらには聖地や伝承地も含む広大なもので、そこでの開発規制等、具体的コントロールの内容を検討することが今年度の大きなテーマとなっています。地元のセレンゲ県が担当する保存管理計画策定作業の推進に向け、省・県・郡・寺院・住民の代表が参加するワークショップを各回とも開催しました。県側の作業体制立ち上げや基本情報収集等に遅れが目立つなど課題も少なくありませんが、計画に盛り込むべき基本的方針を県への提言としてまとめました。
 これと並行して8月ミッションでは、日本の木造文化財建造物修理技術者を講師に、建造物保存修復調査に関する研修もモンゴル人若手技術者を対象として実施しました。この研修も一昨年、昨年に続くもので、実際に破損が進行している仏堂の一つを実測しながら、破損状況の定量的把握から、修理工事の積算に必要な数量調書の作成に至る作業の流れを実習しました。伽藍内の歴史的建造物は劣化・破損が進み、修理の緊急性がさらに高まってきています。修理の技術的水準を確保するには、依然モンゴル単独では対応が難しい状況は変わらず、日本を含む海外からの技術支援を求める声はますます大きくなりつつあります。これに今後どのように対処していくか、モンゴル政府側との意見交換を継続していく必要があります。

to page top