「西スマトラ・パダン歴史地区の再生に関するワークショップ」開催

ワークショップの様子
リノベーション工事中の歴史的建造物

 東京文化財研究所では、2009年9月に発生したスマトラ島沖地震の直後に被災状況調査をユネスコ及びインドネシア政府の要請に基づいて実施して以来、パダン市の歴史的街区における復興を、都市計画や建築学、社会学といった各分野での学術的な調査や現地ワークショップの開催等を通じて、継続的に支援してきました。
 本年度は、8月26日に、西スマトラ州観光・創造経済局主催による「西スマトラ・パダン歴史地区の再生に関するワークショップ」をインドネシア政府文化教育省、パダン市政府、ブンハッタ大学他と共催しました。今回は、インドネシアと日本の専門家に加えて、マレーシアのペナン市ジョージタウンにおいて歴史的街区の世界遺産登録・保全運動を推進してきた地元建築家とNGO関係者にも参加してもらい、住民参加による文化遺産を活かしたまちづくりの進め方について考えることを主なテーマとしました。パダン市内のホテルで行われた本ワークショップには、国・州・市の各レベルの関係当局代表だけでなく、歴史地区内に居住する住民の代表も含めて50名以上が参加して会場に収まりきらないほどの盛況となり、質疑の中では制度的な枠組みや地元コミュニティの参画及び行政や大学との連携のあり方などに、特に高い関心が示されました。
 パダン市政府では、歴史地区再生の担当部局とまちづくり協議組織の立ち上げに向けて目下準備が進められています。今後もこのような地元主導による活動の推移を見守りつつ、必要な支援を行っていきたいと考えています。

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