アメリカ・ゲッティセンター訪問と共同研究のための協議

Getty Museum
Getty Research Institute 概観

 6月16~17日の2日間、田中淳副所長、企画情報部の皿井舞は、フィラデルフィア在住ビデオアートの研究者である足立アン氏の協力を得て、世界的規模で美術資料や美術研究情報の発信を主導するゲッティ研究所(Getty Research Institute : GRI)を訪問し、共同研究を模索するための協議を行いました。これは、昨年2014年の10月にゲッティ研究所長のトーマス・ゲーケンズ博士をはじめとするスタッフ4名ほかが当研究所を視察されたことを受けて、具体的に連携内容について協議することとなったものです。
 ゲッティ研究所は、ロサンジェルスのサンタモニカの海岸とUCLAのキャンパスを見下ろす小高い丘の上にあります。ゲッティ研究所のほか、ゲッティ保存研究所(Getty Conservation Institute)、5つのパビリオンをもつゲッティ美術館などを擁する複合施設となっており、ゲッティセンターと総称されています。
 ゲッティセンターの設立者ジャン・P・ゲッティは、21世紀の革新的なデジタル技術は、芸術と人文学、自然科学を融合させることを可能にするもので、ゲッティセンターはそのプラットフォームを提供しなければならないという理念を掲げています。その理念にしたがって、ゲッティ研究所は、すべての美術資料へのアクセスを統合するという協力的モデルの形成をめざし、アメリカ国内の各美術館や研究所のみならず、ヨーロッパの美術館・研究所と連携しながら、さまざまなプロジェクトを有機的にまとめ上げていました。
 皿井は、”Approaches to the Creation of Japanese Cultural Properties Database at National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo; Tobunken”と題したプレゼンテーションを行い、トーマス・ゲーケンス所長をはじめとして、各部門の主要スタッフに、現在、東文研が取り組んでいる文化財の研究情報の発信について紹介しました。
 当研究所の美術資料デジタルアーカイブや美術家に関するデータベースなどは、ゲッティと連携可能なコンテンツである可能性が高く、ゲッティ研究所のスタッフにも好評を博しました。最終的には両研究所が連携を進めるということで合意を得て、これから覚書を取り交わすこととなります。
 世界につながるゲッティ研究所のポータルサイトから、東文研のデジタルコンテンツが検索できるようになれば、日本の美術や文化財に関する情報が、世界のより多くの方に利用していただけるようになることは間違いありません。引きつづき、今後も東文研の情報発信強化に努める所存です。

to page top