修復材料の適用に関する調査研究

厳島神社における試験施工

 保存修復科学センターでは、文化財の修復材料に関する調査研究を行っています。修復材料は、建造物や美術工芸品など多岐にわたる分野で様々なものが必要とされており、それぞれに対応する材料の開発や評価をします。
 厳島神社でも、大鳥居の修復材料について調査研究を継続してきています。厳島神社は、海上にあるため、苛酷な温湿度環境に置かれ、かつ風雨に直接曝され、塩類の影響も勘案しなくてはならないなど、修復材料の選定には厳しい条件が必要となります。また、潮の満ち引きなどもあるため、施工時間も限定されます。修復材料の選定は、実験室における様々な条件の劣化促進試験と、現地における曝露試験との平行で行われています。
 昨年度までの研究調査において、充填材の仕様が確定し、その表面仕上げ材について現在検討中です。10月22日と23日に今までの成果をもとに、一部の材料の試験施工を行いました。今後は、経過観察を行いつつ、適切な材料選択が可能になるよう調査を継続する予定です。

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