文化財修復処置に関するワークショップ-ナノセルロースの利用についてー開催報告

開講式集合写真
実習風景

 近年、文化財保存修復に関する調査研究対象は伝統的な文化財分野のみならず、多様な材料で作成された作品や資料へ広がっており、それに伴い、保存科学研究センター修復材料研究室では、海外の講師を招聘しての研修を開催しています。今年度は、フランスよりナノセルロースの利用について研究と実践を行うRemy Dreyfuss-Deseigne氏を招聘し令和4年(2022)10月5日より3日間のワークショップを行いました。ナノセルロース材料は天然材料に由来する透明で安全な材料であることから、特にトレーシングペーパーや写真フィルムなど透明な材料への適用が着目されています。
 定員15人に対し2倍以上のご応募があり、午前の座学へは全員ご参加いただけましたが、午後の実技のためには定員を広げつつも選考を行わざるを得なかったのですが、この研修に対する期待を強く感じられました。初日は齊藤孝正所長の挨拶と講師紹介の開講式から開始され、午前の座学と午後の実技実習を行いつつ、また、最終日には東文研が保有する機器のうち研修に関連するものの見学も行いました。
 海外から講師を招聘してのワークショップは3年ぶりとなりましたが、対面での研修となったため、非常に活発な質問や討議が行われ、さらに、研修生同士の連携も強く形成されたとの声も多く、オンラインでは得られない研修効果を再認識した次第です。このような熱意の中で行われた本研修の成果は、実際の文化財修復や公文書保存に役立てられていくと考えております。

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