松澤宥アーカイブズに関する研究会―第9回文化財情報資料部研究会の開催

松澤宥アーカイブズに関する研究会の様子

 令和4(2022)年3月17日に、コンセプチュアル・アート(概念芸術)の先駆者、松澤宥(1922-2006)の活動の記録・整理に携わってきた専門家、あるいはその資料に新たな価値を見出す専門家・研究者をお招きして、オンライン併用で第9回文化財情報資料部研究会「松澤宥アーカイブズに関する研究会」を開催しました。
 この研究会は、研究プロジェクト「近・現代美術に関する調査研究と資料集成」、科学研究費「ポスト1968年表現共同体の研究:松澤宥アーカイブズを基軸として」(研究代表者:橘川英規)の一環でもあり、以下の発表・報告をしていただきました。
 木内真由美氏、古家満葉氏(長野県立美術館)「生誕100年松澤宥展:美術館による調査研究から展覧会開催まで」、井上絵美子氏(ニューヨーク市立大学ハンターカレッジ校)「松澤宥とラテン・アメリカ美術の交流について―CAyC(Centro de Arte y Comunicación / 芸術とコミュニケーションのセンター)資料を中心に」、橘川英規(文化財情報資料部)「松澤宥によるアーカイブ・プロジェクトData Center for Contemporary Art(DCCA) について」(以上、発表順)。
 こののち、発表者4名と参加者(会場11名、オンライン33名)での意見交換を行いました。一般財団法人「松澤宥プサイの部屋」(理事長松澤春雄氏)の方々、松澤本人と交友のあった作家、美術館やアーカイブズ関係者を交え、話題は、松澤宥アーカイブズの研究資料としての意義と可能性、保存の課題など多岐にわたりました。
 研究資料として有効であることは認識されていながら、長期的な保存が担保されていないアーカイブズ――松澤宥アーカイブズに限らず、そのような文化財アーカイブズを後世に伝えるために、今後も、私たちが担う役割を検討・実践していきたいと考えております。

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