「大鼓の革製作の記録(短編) 畑元 徹」の映像記録公開について

大鼓の革の出来上がり(表・裏)
畑元太鼓店工房での記録調査

 大鼓は、能楽や歌舞伎、邦楽などの囃子で用いられる楽器で、日本の芸能に欠かせないものの一つです。大鼓の演奏前には、準備として革を乾燥させるために焙じます。そのため、使用する度に革の消耗が激しく、10回程使うと新しいものに取り換えなければなりません。大鼓という楽器を維持するには革も欠かせない要素の一つであるため、「大鼓の革製作技術」(能楽大鼓(革)製作)は文化財を支える文化財保存技術としてとらえられています。
 今回、無形文化遺産部では畑元太鼓店の畑元徹氏(東京都)のご協力を得て、「大鼓の革製作技術」について調査を行い、その成果の一部をもとに映像記録を作成しました(WEB上でもご覧になれます https://youtu.be/eml2A65kbtY)。革を加工して柔らかくし、麻紐を用いて革をかがる様子など製作工程を記録しました。畑元氏は伝統的な技法に基づきながらも、一部の作業工程では独自の工夫を考案して作業を行っておられます。そのため、商業上の配慮として公開用の映像に一部ボカシを加えている部分があります。また、技術をより詳細に記録するため、別途長時間の構成をおこなった映像記録も保管用として作成しました。
 無形の文化財を支える様々な保存技術は、社会的な変容や後継者不足により、存続の危機に瀕しているものが少なくありません。保護の一助となるよう、無形文化遺産部では保存技術についても継続して調査を行っていければと考えています。

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