文化財の記録作成に関するセミナー「文化財保護と記録作成・画像圧縮の原理」の開催

中野慎之氏による講演
今泉祥子氏による講演

 文化財を扱う博物館・美術館や自治体にとって、文字や写真による文化財や収蔵品の記録作成(ドキュメンテーション)は、調査研究・保存活用のための基礎的なデータを取得する活動です。文化財情報資料部文化財情報研究室では、このような文化財の記録作成の手法や、記録を整理・活用するためのデータベース化に関する情報発信を行っています。その一環として令和3(2021)年9月21日、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じたうえで、標記のセミナーを東京文化財研究所セミナー室で開催しました。
 セミナーでは、「文化財保護と記録作成」と題して中野慎之氏(文化庁 文化財第一課 調査官(絵画部門))が、文化財保護にとっての記録の意味や、記録作成の際の留意点について、実例とともに豊富な資料に基づいて講演されました。また、シリーズ「ディジタル画像の圧縮~画像の基本から動画像まで~」の第2回として、今泉祥子氏(千葉大学大学院工学研究院准教授)が、ディジタル画像の圧縮とは何か、どのような処理を行うのか、さらに、JPEGやMPEGといった静止画や動画像の代表的な圧縮方式の基本的な技術について、「画像圧縮の概念と基本技術」のタイトルで講演を行いました。
 新型コロナウイルス感染拡大により文化財にアクセスしづらくなっている現在、文化財の調査研究や鑑賞の機会を確保するための記録作成の意義はますます大きくなっています。私たちは今後も講義形式やハンズオン形式のセミナーを通じて、文化財に関する記録の作成や記録の保存・発信に役立つ情報を発信していきます。

to page top