「保存と活用のための展示環境」に関する研究会―照明と色・見えの関係―の開催

研究会の様子

 保存科学研究センターの研究プロジェクトである「保存と活用のための展示環境」では、照明に関する研究の総括として令和3(2021)年3月4日に『「保存と活用のための展示環境」に関する研究会―照明と色・見えの関係―』を開催しました。これまでは博物館・美術館等の展示照明に焦点を当てた、文化財の保存を考えた照明のあり方に関する事例報告が主でしたが、今回は少し視点を変え、これまであまり文化財の分野では触れられてこなかった、保存とは少し異なる観点の照明について専門の先生方よりご報告いただきました。
 まず、これまで本プロジェクトの中心で研究を進めてこられた佐野千絵氏(東京文化財研究所名誉研究員)に保存科学研究センターにおける照明研究の流れを導入としてお話しいただきました。次に、視覚科学・視覚工学・視覚情報処理・色彩工学をご専門とされる溝上陽子氏(千葉大学大学院工学研究院)、建築光環境の評価手法の開発についての研究をされている吉澤望氏(東京理科大学理工学部建築学科)、視覚情報処理や色彩・照明工学・画像処理に関して研究を進められている山内泰樹氏(山形大学大学院 理工学研究科)にご講演いただき、多岐にわたる内容となりました。
 コロナ禍で緊急事態宣言が出され、120名入るセミナー室で最大30名の収容という制約の中、対面での研究会は非常に有意義なものとなりました。参加者からは、対面で話を伺えて有意義だった、照明に関する理解が深まった等の意見が寄せられ、満足度の高い研究会になったことが伺えました。一方、今回の研究会は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、関東近郊の美術館・博物館等に限定して研究会の案内をしました。そこで、研究会の内容を録画し、東京文化財研究所のYouTubeチャンネルで期間限定公開をすることにしました。今回、参加できなかった遠方の方々にもこの機会に広く視聴していただければと思います。
期間限定公開(令和3年5月10日~7月30日)
https://www.youtube.com/watch?v=UQp68KyNvVQ

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