第27回文化遺産国際協力コンソーシアム研究会「コロナ禍における文化遺産国際協力のあり方」の開催

第27回研究会「コロナ禍における文化遺産国際協力のあり方」

 新型コロナウイルスの感染拡大により、文化遺産国際協力の現場も大きな困難に直面しています。コロナ禍において、各プロジェクトがいかに対応しているのかという具体的な情報を共有するとともに、文化遺産国際協力の今後とその可能性について議論するため、文化遺産国際協力コンソーシアムは、令和2(2020)年9月5日にウェビナー「コロナ禍における文化遺産国際協力のあり方」を開催しました。
 「コロナ禍におけるアンコール遺跡の保存事業」と題した一つ目の報告では、現地カンボジアから参加した長岡正哲氏(UNESCOプノンペン事務所)が、コロナ禍で観光客が減少したことでアンコール遺跡周辺の観光業が深刻な打撃を受けている一方、カンボジア政府組織APSARAは、そうした状況を逆手に取り、これまで着手できなかった遺跡周辺の大規模な整備事業や、新たな調査を行っていることを紹介しました。
 二つ目の報告「デジタルツールを利用したリモート国際協力事業の例」の中では、渡部展也氏(中部大学)が、紛争下にあるシリアにおいて破壊の危機に瀕する文化遺産の3Dドキュメンテーション作業を、日本からインターネットを介して、リモートで支援する取り組みを紹介しました。
 關雄二氏(国立民族学博物館)の司会のもと、友田正彦氏(東京文化財研究所)、山内和也氏(帝京大学文化財研究所)が加わったパネルディスカッションでは、オンラインを通じた研修や、デジタルツールを活用したリモートでの調査・保護活動の可能性と限界について議論され、研究会は終了しました。
 コロナ禍でも文化遺産国際協力を前進させようとする各プロジェクトの新たな試みや挑戦、そこで培われた知識や経験を、コロナ後の文化遺産国際協力に生かしていけるよう、コンソーシアムでは、関連する情報の収集・発信に努めていきたいと思います。
 本研究会の詳細については、下記コンソーシアムのURLをご覧ください。
 http://www.jcic-heritage.jp/jcicheritageinformation20201110/

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