第四回「箕の研究会」の開催

箕振りの様子

 2019年9月26日、東京文化財研究所において、有志の研究会である「箕の研究会」の第四回目が開催されました。
 箕の研究会は、穀物の脱穀調整や運搬等に用いる民具である「箕」に関わる技術、文化を研究し、その継承を考える会です。平成29(2017)年に東京文化財研究所で開催された「箕サミットー編み組み細工を語る」を発端に、箕に関心を持つ有志によって結成されました。メンバーは民俗学、考古学、デザイン工学、植物学などの専門家や、箕をはじめとする手仕事品の作り手、売り手、使い手などで、これまで年2回程度の研究会によって、研究の成果や課題を共有する活動を続けてきました。
 第四回研究会においては研究報告に加え、異なる産地の箕による箕振り実験も行われました。使用したのは面岸箕(岩手)、太平箕(秋田)、木積の箕(千葉)、論田・熊無の箕(富山)、阿波箕(徳島)、日置箕(鹿児島)、中国の柳箕、韓国の網代箕、マレーシアの箕で、麦、米、エゴマの選別を実験しました(うち太平、木積、論田・熊無はその製作技術が国の無形民俗文化財に指定)。こうして実際に箕を使い比べてみることで、箕の機能に対する理解を深めることができ、各箕の造形的意味や素材選択の意味、地域による使い勝手(機能)の違いを検証するための基礎情報を得ることができました。
 研究会では引き続き、各地の箕について研究を深めていくとともに、その製作技術、使用文化の継承についても、作り手、売り手とともに考えていきます。

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