戦後日本美術アーカイブズの研究活用に向けて―文化財情報資料部研究会の開催

研究会の様子

 令和元(2019)年7月23日、本年度文化財情報資料部第4回研究会が開催されました。今回は、「戦後日本美術アーカイブズの研究活用に向けて―松澤宥アーカイブを例に」と題したミニ・シンポジウム形式の研究会でした。
 前半は、橘川英規(文化財情報資料部)「1950年代、60年代の松澤宥宛書簡」、木内真由美氏(長野県信濃美術館)「松澤宥アトリエ「プサイの部屋」の調査・記録報告」、宮田有香氏(国立国際美術館)「松澤宥アーカイブ―内科画廊関連資料を通じて考える利用の可能性」、細谷修平氏(美術・メディア研究者、映像作家)「映像メディアのデジタイズと保存―松澤資料を例に」の4件の発表・報告が行われ、後半のディスカッションは、塩谷純(文化財情報資料部)の司会により、松澤宥の作品・活動やそのアーカイブズの美術史的意義、アーカイブズ活用、その前提となるアーカイブズ整理方法(データ整理、資料保全)について議論を交わしました。また休憩時間には、松澤宥アーカイブの一部を関係者で閲覧する機会を設け、情報の交換を行いました。
 この研究会の聴講には、所外から松澤宥のご家族、美術館や大学などに所属する研究者、美術作家など40名あまりの方にお越しいただきました。現在、科研費課題としても松澤宥アーカイブを軸にした研究に取り組んでおり、その最終年となる令和2年度にシンポジウム開催を予定しております。これに向けて、多様な分野の研究者と共同して、松澤宥アーカイブの美術史的、文化史的意義について研究してきたいと考えています。

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