研究会「大陸部東南アジアにおける木造建築技術の発達と相互関係」の開催

研究会の様子

 東京文化財研究所では、平成28(2016)年度より、東南アジアの木造建築をテーマとした研究会を3回にわたって開催してきました。第1回および第2回においては、考古学的情報から既に失われた古代木造建築の実像に迫るというアプローチを採りました。今回、平成30(2018)年12月16日に開催した第3回では、「大陸部東南アジアにおける木造建築技術の発達と相互関係」のタイトルで現存する建物に目を向け、本地域の木造建築技術の特徴と、その発展過程および地域内外での影響関係を探ることを目的としました。
 フランソワ・タンチュリエ氏(インヤー・ミャンマー学研究所)からはミャンマ―およびカンボジアについて報告をいただきました。両国に現存する木造建築では、水平材をほとんど使用しない単純な構造によって多重の直線屋根を支えるという形式が共通して見られ、特にミャンマ―の場合は、多く彫刻が施された装飾的な屋根が特徴的です。
 一方、ポントーン・ヒエンケオ氏(タイ王国文化省芸術局)からはタイについて報告をいただきました。タイでは、地域や時代によって木造建築の特徴が変化していきますが、水平梁と束を多用する構造によって曲面の屋根を作る形式が広く認められます。
 最後に大田省一氏(京都工芸繊維大学)に加わっていただき、会場からの質疑も交えてパネルディスカッションを行い、国境を越えた東南アジア木造建築史の構築をメインテーマに意見を交わしました。
 本研究会の内容は、2019年度に報告書として刊行する予定です。

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