英国、セインズベリー日本藝術研究所での協議と講演

講演の様子

 イギリス・ノーフォークの州都であるノリッチ(Norwich)にあるセインズベリー日本藝術研究所(Sainsbury Institute for the Study of Japanese Arts and Cultures; SISJAC)は、欧州における日本の芸術文化研究の拠点のひとつです。このSISJACと東京文化財研究所は、平成25(2013)年より「日本藝術研究の基盤形成事業」として、日本国外で発表された英文による日本芸術関係文献のデータをSISJACから提供いただき、当研究所のウェブサイトで公開するという事業を共同で進めています。そうした事業の一環として、毎年、文化財情報資料部の研究員がノリッチを訪れて、協議と講演をおこなっており、平成30(2018)年度は江村知子、安永拓世の2名が11月13日から16日にかけて滞在し、その任に当たりました。
 協議では、SISJACから提供いただいたデータへのアクセス件数の問題や、データの入力に関する英文の特殊文字およびローマ字表記の表記揺れの問題などが議題となったため、当研究所からは、アクセス件数の概算値を報告し、今後の入力方針を確認しました。
 また、11月15日には、安永がノリッチ大聖堂のウェストン・ルームにおいて「与謝蕪村筆「鳶・鴉図」に見るトリプルイメージ A pair of scroll paintings: The triple images of Yosa Buson’s “Kite and Crows”」と題した講演をおこない、同研究所のサイモン・ケイナー(Simon Kaner)所長に通訳の労をとっていただきました。この講演は、SISJACが毎月第三木曜日に開催する一般の方向けの月例講演会の一環でもありましたが、今回は80名ほどの参加者が、いずれも熱心に聴講しており、現地での日本美術に対する関心の高さがうかがわれました。

to page top