台北におけるワークショップ「染織品の保存と修復」の開催

基礎編における日本の染織品に関する講義
応用編における染料に関する実習

 海外所在の日本の染織品の保存と活用を目的に、日本の染織品の保存修復に関するワークショップを国立台湾師範大学と共同で開催しました。平成30(2018)年8月8日から10日に基礎編「Cultural Properties of Textile in Japan」を、8月13日から17日に応用編「Conservation of Japanese Textile」を、日本および台湾から保存修復技術者や染織品関連の研究者を講師に迎え、同大学の文物保存維護研究発展センターにおいて実施しました。基礎編には6カ国9名、応用編には5カ国6名の保存修復技術者、研究者、学生らが参加しました。
 基礎編では日本の有形・無形文化財の保護制度をはじめ、服飾材料としての繊維や糸、日本の代表的な染織品に関する講義を行ったほか、着物を畳む、展示するといった実習も行いました。また、反物から着物がどのように作られているかを理解するため、和紙の着物モデルも作製しました。応用編の前半は染料を同定するための分析や、表面の清掃および洗浄を中心としました。後半は日本における保存修復処置方法の紹介として、古裂を絹布に縫い留める補強処置を行い、保存収納用のたとうを作製しました。両編において、様々な日本の染織品の展示事例や保存修復事例を共有し、染織品の素材や技法に加えて保存修復の材料や方法についても理解できるよう努めました。
 在外の日本の染織品文化財の保存修復と活用のみならず、関連する無形文化財の保護にも寄与することを目指し、今後も同様の事業を実施していきたいと考えています。

to page top