アルメニア共和国における染織文化遺産保存修復研修の開催

考古染織遺物を用いた実習
顕微鏡による繊維構造の分析

 平成30(2018)年6月25日~7月6日の間、アルメニア共和国にて、同国文化省と共同で染織文化遺産保存修復研修を開催しました。本研修は、東京文化財研究所と同省とが平成26(2014)年に締結した、文化遺産保護分野における協力に関する合意に基づくもので、昨年度に引き続いて2回目の実施となります。
 今回の研修は、文化遺産国際協力センター客員研究員の石井美恵氏とNHK文化センターさいたまの横山翠氏を講師として、歴史文化遺産科学研究センターとエチミアジン大聖堂付属博物館の2箇所で行い、アルメニア国内の博物館・美術館など7機関から14名が研修生として参加しました。歴史文化遺産科学研究センターにおける研修では、同センターが所蔵する、考古遺跡から出土した12世紀のものとされる染織遺物に対して、顕微鏡を用いた分析手法や収蔵方法などに関する実習を行いました。また、エチミアジン大聖堂付属博物館においては、9月にアメリカのメトロポリタン美術館へ出展予定の収蔵品に対する、より高度な技術を用いたステッチ補強の実習を行いました。
 今年度は実物の染織文化遺産を使用した研修を行うことができ、研修生にとっても良い経験となりました。我々が伝える知識や技術がアルメニアの専門家に定着するよう、来年度も研修事業を実施する予定です。

to page top