IFLAヴロツワフ大会への参加

IFLA世界大会メイン会場となった百周年ホール
キャスリーン・サロモン氏による発表

 国際図書館連盟(IFLA:The International Federation of Library Associations and Institutions)第83回世界大会がポーランド西部の都市・ヴロツワフにおいて、8月19日~25日の日程で開催されました。IFLAは1927年にスコットランドのエディンバラで設立された図書館の国際組織で、ブルーシールド国際委員会の一部でもあります。本部はオランダのデン・ハーグに置かれ、約140か国・1400団体が加盟しており、毎年1回世界大会が開催されています。国立図書館、大学図書館、公共図書館など様々な種類の図書館やテーマによって、248件のセッション(会合・会議・研究会)が行われました。今回は初めて文化財情報資料部から江村知子が参加し、美術図書館など当所のアーカイブに関連の深い研究会や会議などに出席して、各国の参加者との情報交換、研究交流を行いました。
 8月22日にヴロツワフ建築博物館で開催された美術図書館分科会「美術・建築の探索:美術史研究のオープン・アクセス・ツール」では、オランダ、イタリア、アメリカ、ハンガリーから4人の発表が行われ、美術に関する文献・研究資料をより広く情報共有し、発展的な研究に広げていくための様々な取り組みが報告されました。ゲッティ研究所のキャスリーン・サロモン氏の「美術史のバーチャル図書館:ゲッティ・リサーチ・ポータル」では、今年5月から当研究所がゲッティ・リサーチ・ポータルの情報提供元となり、当研究所所蔵の明治期の雑誌や展覧会目録が搭載されたこと、英語以外の稀観書も広く利用できる仕組みとなっていることが紹介されました。今回の美術図書館分科会や常任委員会には日本やアジアからの参加者は他におられず、美術資料の国際的活動は欧米の関係者によって推進されている印象を受けましたが、世界各国で日本の美術作品や図書資料なども多く所蔵されている現状も知ることができました。あわせて当研究所のアーカイブ機能と国際的な情報発信を強化することによって、より広く研究支援や日本文化の理解促進に貢献できる可能性を認識致しました。専門性を十分に確保しながら、国際的な連携を推進することを今後の課題としたいと思います。

to page top