写真展「生きている遺産としてのスーダンの嗜み―混迷の時代を超えて―」の開催(たばこと塩の博物館)


写真展「生きている遺産としてのスーダンの嗜み―混迷の時代を超えて―」が、10月5日~11月17日までの会期で、たばこと塩の博物館(東京都墨田区)で開催されました。
この展覧会は、たばこと塩の博物館と科学研究費事業「ポストコンフリクト国における文化多様性と平和構築実現のための文化遺産研究」(代表:無形文化遺産部長・石村智)の共催で実施され、東京文化財研究所の後援、駐日スーダン共和国大使館の協力を得ました。
この展覧会では、日本国際ボランティアセンター(JVC)スーダン事務所の今中航氏、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)の金森謙輔氏、ジャーナリストで8bitNews代表の堀潤氏、スーダン科学技術大学教授のモハメド・アダムス・スライマン氏から提供された写真のほか、大英博物館、東京国立博物館、駐日スーダン共和国大使館のコレクションからの写真を含む12点の写真が展示されました。中でも、モハメド・アダムス・スライマン氏から提供された写真は、武力紛争の只中にあるスーダンの日常生活を捉えた貴重なものであり、写真を提供してくださったスライマン氏に心より感謝申し上げます。
10月26日にはギャラリートークを開催し、石村智による展示解説と、ブループリント(注1)制作者の熊谷健太郎氏による、ブループリントの原材料として欠かせないアラビアゴムとスーダンの関係についてのトークが行われました。
11月10日には関連シンポジウムを開催しました。前半はパネルディスカッションで、青木善氏(たばこと塩の博物館)、金森謙輔氏、堀潤氏、関広尚世氏(京都市埋蔵文化財研究所)、清水信宏氏(北海学園大学)が報告を行った他、今中航氏と坂根宏治氏(日本国際平和構築協会、元JICAスーダン事務所所長)がオンラインで報告を行いました。またアリ・モハメド・アハメド・オスマン・モハメド氏(駐日スーダン共和国大使館臨時代理大使)からはビデオメッセージを寄せていただきました。なお全体の司会は石村智が務めました。さらにパネルディスカッションの最後には、日本在住のスーダン人青年がコメントを寄せました。
後半には、REIKAスダニーズ・ダンスグループ(Reika、Miyuki、Yoko、Reiko、Miho、Akiko、Yoko)によるパフォーマンスが行われました。最後の曲では、観客も一緒になってスーダンのダンスを踊りました。シンポジウムには80名が参加し、大盛況でした。
会期中、博物館のミュージアムショップでは、このシンポジウムのパネリストたちが執筆した書籍『スーダンの未来を想う―革命と政変と軍事衝突の目撃者たち―』(関広尚世・石村智編著、明石書店、2024年)の販売も行われました。
最後に、この展示にご協力いただいたジュリー・アンダーソン氏(大英博物館)、モハメッド・ナズレルデイン氏(テュービンゲン大学)、アリ・モハメド・アハメド・オスマン・モハメド氏(駐日スーダン共和国大使館臨時代理大使)に感謝申し上げます。
(注1)ブループリント(シアノタイプ)とは、青色の発色を特徴とする19世紀に発明された写真方式。機械図面や建築図面の複写(青写真)によく用いられた。現在では実用としてはほとんど用いられないが、その独特の表現から美術作品として用いられる。