ギャラリー山口旧蔵資料の目録公開


このたび、研究プロジェクト「近・現代美術に関する調査研究と資料集成」の一環で、「ギャラリー山口旧蔵資料」の目録をウェブサイトに公開しました。
ギャラリー山口は、昭和55(1980)年3月銀座3丁目、松屋と昭和通りの間、ヤマトビル3階に開設した、山口侊子(1943-2010)経営による現代美術を専門とした画廊です。「美術館の開館ラッシュ」といわれる時代に、30~40代の次世代を担う若手日本人美術家の個展を中心とし、抽象表現の絵画、彫刻の大作による個展を主軸として、その発表の場を担うとともに、現代の建築空間に対応できる作品の紹介、広場や公園のための野外彫刻、環境造形の受注制作も行ったギャラリーとしても知られています。平成3(1991)年4月には、現代美術作品の大型化に対応するため、新木場にオープンしたSOKOギャラリーに入居、ギャラリー山口SOKOも開設。平成7(1995)年8月には、この2ヶ所のギャラリーを統合し、京橋3丁目京栄ビルへ移転しました。国際交流の活動として海外画廊との交換展を行うなど日本の現代美術の普及にも大きく貢献した、この時代を代表する重要な画廊のひとつです。
今回、目録を公開した資料群は、平成22(2010)年に経営者逝去に伴いギャラリーが閉廊した際に、笹木繁男(1931-2024)の仲介で東京文化財研究所に寄贈されたもので、570点ほどのファイルで構成され、書架延長でおよそ9メートルの規模になります。そのなかには記録写真やプレスリリースなどを納めた作家ファイルや画廊運営資料も含まれており、当時の新聞・雑誌などのメディアによる報道には記録されない、重要な事実を見出すこともできるでしょう。
研究プロジェクト「近・現代美術に関する調査研究と資料集成」では、日本の近・現代美術の作品や資料の調査研究を行い、これに基づき研究交流を推進し、併せて、現代美術に関する資料の効率的な収集と公開体制の構築も目指しております。この資料群は資料閲覧室で閲覧できますので、現代美術をはじめとする幅広い分野の研究課題の解決の糸口として、また新たな研究を創出する契機として、ご活用いただければ幸いです。
◆資料閲覧室利用案内
https://www.tobunken.go.jp/joho/japanese/library/library.html
アーカイブズ(文書)情報は、このページの下方に掲載されています。実際の資料は資料閲覧室でご覧いただけます(事前予約制)。
◆ギャラリー山口旧蔵資料
https://www.tobunken.go.jp/joho/japanese/library/pdf/archives_GalleryYamaguchi.pdf