被災資料を保管している旧相馬女子高校の環境調査

除塵清掃の様子

 東北地方太平洋沖地震救援委員会救援事業、福島県被災文化財レスキュー事業等では、旧警戒区域の双葉町、大熊町、富岡町の各資料館から搬出した資料の一時保管施設として、旧相馬女子高校(相馬市)の校舎を再利用しています。大型資料や特に重い資料を除いて、搬出資料はすでに福島県文化財センター白河館仮保管庫に収納され、除塵清掃、整理記録後に展示に活用されていますが、一時保管が想定よりも長期化したため、平成27(2015)年10月15日に、保存環境についてあらためて調査をおこないました。設置されていた温湿度、照度測定用のロガーを回収するとともに室内の表面温度測定や遮光の状況を調査し、資料が生物被害を受けていないか目視調査をおこないました。資料のある教室には乾式デシカント方式の除湿器が設置されており、梅雨~夏の相対湿度の高い時期にも教室内は高湿度にならず、2月下旬~8月中旬にはおおむね50~60%rhとなっており、資料にカビが生えやすい環境ではなかったことがわかりました。照度が高めであること、窓際から1mまでの温度が外部の影響を受けやすいことがわかりました。なお、カビの発生が疑われた一部の資料については除塵清掃作業を行いました。今後も一時保管場所の環境の整備方法について、基礎的なデータを元に検討していく予定です。

to page top