日韓無形文化遺産研究交流成果発表会の開催

成果発表会の参加者一同

 東京文化財研究所無形文化遺産部は平成20(2008)年より大韓民国国立無形遺産院と研究交流を続けています。その事業の一環として、令和5(2023)年5月24日に日韓無形文化遺産研究交流成果発表会を当研究所で開催しました。この発表会では、平成28(2016)年10月~令和5(2023)年3月にかけて実施された研究交流の成果が発表されました。
 国立無形遺産院からは4名(梁鎭潮氏・崔淑慶氏・姜敬惠氏・柳漢仙氏)のスタッフが来訪し、4本の報告を行いました。当研究所からは、無形文化遺産部・石村智、前原恵美、久保田裕道の3名が3本の報告を行いました。その後、文化財情報資料部・二神葉子をはじめとする参加者全員によるディスカッションが行われました。
 ディスカッションでは、無形文化遺産の保護をめぐる課題や展望についての意見交換が行われました。とりわけ近年注目されている生活文化に関連した無形文化遺産(例えば食文化)についての議論が活発に行われました。生活文化に関連した無形文化遺産の保護については、韓国の方が日本よりも早く取り組みを始めましたが、その課題には両国の間で共通するところと異なるところがあることが分かりました。議論は2時間にも及ぶ白熱したものとなりました。
 研究交流の事業は、新型コロナ禍のために一時中断していましたが、こうして再開することが出来たのは幸いでした。今年4月には当研究所と国立無形遺産院は新たな合意書を締結し、研究交流は2030年3月まで継続することとなりました。この研究交流を通じて、無形文化遺産の保護に関する両国の理解と協力が促進されることを願っています。

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