シルクロード世界遺産登録に向けた支援事業:キルギス共和国における専門家育成のためのワークショップ

小型UAVを操縦する研修生

 文化遺産国際協力センターはユネスコ・日本文化遺産保存信託基金による「シルクロード世界遺産登録に向けた支援事業」に2011年より参画しています。この事業は中央アジア5か国が目指すシルクロード関連遺産の世界遺産一括登録への支援を目的とし、日本及び英国の複数の研究機関が共同で実施しています。2014年、カザフスタン及びキルギスが中国と共同申請した「長安・天山回廊」はシルクロードとして世界遺産に登録されましたが、ウズベキスタンとタジキスタンによる共同申請、トルクメニスタンによる単独申請が今後も予定されています。また、5か国間の緊密な協力による持続的な文化遺産マネジメント体制の構築が今後の課題として残されています。このため、ユネスコは2014年から2017年にかけて同事業の第2期を実施することとし、継続して支援を行うことを決定しています。
 キルギスを対象とした支援を担当することとなった文化遺産国際協力センターでは、10月2日から10日にかけて考古・建築遺産を対象とした文化遺産ドキュメンテーション技術の向上と遺産のマネジメントプラン作成に向けたワークショップをキルギス南部のウズゲン市で開催しました。まず、GNSS(衛星測位システム)受信機とGIS(地理情報システム)ソフトウェアを用いた遺跡分布図の作成手法及び小型UAV(無人航空機)による航空写真と3次元モデル生成ソフトウェアを用いた考古遺跡の地形測量や建築遺産の高精細3次元モデル作成に関する講義とフィールド実習を実施しました。その後、文化遺産マネジメントプラン作成の模擬演習をグループワーク形式で行いました。
 文化遺産国際協力センターの本事業への参画は今年度で終了となりますが、今回のワークショップで利用したGNSS受信機や小型UAV等の機材はユネスコからキルギス側に供与されています。これらの最新機材を活用した文化遺産ドキュメンテーションが、今後キルギスで進展することが期待されます。

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