染織文化財の技法・材料に関する研究会「ワークショップ 友禅染 ―材料・道具・技術―」の開催

染色に関する講義

 無形文化遺産部では平成27年10月16日、17日と文化学園服飾博物館と共催で友禅染に関するワークショップを開催しました。今回のワークショップでは桜美林大学の瀬藤貴史先生をお招きし、近世以降の代表的な染色技法である「友禅染」を取り上げ、近世より受け継がれた材料(青花紙〈あおばながみ〉や友禅糊、天然染料など)と近代以降の合成材料(合成青花、ゴム糊、合成染料)、それぞれの材料に合わせた道具について比較しました。
 1日目は、友禅染の材料や道具の生産をとりまく現状を映像も併せて説明し、その上で、青花紙と合成青花の比較しながらの下絵描き、真糊〈まのり〉に蘇芳と消石灰を併せた赤糸目〈あかいとめ〉による糸目糊置き、地入れを行いました。2日目は天然染料と合成染料について学んだ後、合成染料による彩色、蒸し、水元〈みずもと〉の作業を行いました。蒸しの待ち時間にはゴム糸目による糸目糊置きを体験しながら、真糊とゴム糊の工程の違いについても学びました。ワークショップの終盤には、それぞれの考える受け継ぐべき「伝統」についてディスカッションを行いました。
 今回のワークショップを通じて、材料の変化と道具、技術の関わりについて、実際の作業を通じて理解し、さらに、後世へ受け継ぐべき技術とその保護について参加者の皆さんと討議し問題を共有することもできました。
 今後も無形文化遺産部ではさまざまな技法に焦点をあてる研究会を企画していきます。

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