企画情報部「第49回オープンレクチャー モノ/イメージとの対話」の開催

会場の様子

 企画情報部では、10月30日(金)、31日(土)の2日間にわたって、オープンレクチャーを当所セミナー室において開催しました。日頃の研究の成果を広く一般に講演の形で発信するものとして毎年行われており、今回で第49回を迎えました。本年は当所研究員2名に加え、外部講師2名を迎え、各1時間余の講演が行われました。
 第1日目は、皿井舞(企画情報部主任研究員)「仁和寺阿弥陀三尊像と宇多天皇の信仰」、増記隆介(神戸大学准教授)「十世紀の画師たち―東アジア絵画史から見た「和様化」の諸相―」。皿井は宇多天皇が造立した阿弥陀三尊像について、その図像的特色とこれが宇多天皇を中心とする宗教史的歴史的背景といかに関わっているかを述べ、増記氏は中国における10世紀頃の山水画の変化を史料から読みとり、その日本への影響について考察されました。第2日目は、安永拓世(企画情報部研究員)「与謝蕪村の絵画に見る和漢」、吉田恵理(静岡市美術館学芸係長)「池大雅の山水画を考える―二つの「六遠図(りくえんず)」を手がかりに―」。安永は江戸時代の代表的な画家である与謝蕪村の絵画において「和」と「漢」が彼の表現の中でどのように意識され、混交され、実作品にどのように表れているかを述べ、吉田氏は蕪村と並ぶ江戸画家・池大雅が描いた「六遠図」を中心に、それが中国の絵画理論を源としながらもユニークなものであること、日本的「文人画家」としての大雅の絵がどのように形成されていったかを諸作品の筆法、また作品に関わった人々との関連によって講演されました。
 第1日目は138名、第2日目は109名の多くの聴衆を迎え、アンケートに回答いただいた方のうち、「大変満足した」と「おおむね満足だった」が合わせて8割以上と好評をいただきました。

( / 小林達郎)
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