宗湛の研究

キャビネットに収納された画家別フォルダ群
そのうちの宗湛フォルダを抜き出したところ

 企画情報部文化形成研究室では、「東アジアの美術に関する資料学的研究」の一環として、室町時代の将軍家専属絵師・宗湛(1413~81)の基礎研究に取り組んでいます。昨年度は最初に宗湛に関する資料を網羅的に収集し、研究の基盤となる資料集を作成しました。その際、とくに室町時代の漢画系絵師についてまとまった成果を得た戦前の「東洋美術総目録事業」の形式を参考としています。その作業を通じ、研究基盤整備という目的下における「東洋美術総目録」形式のある種普遍的とでも呼びたくなるような有用性を確認できただけでなく、戦前から断続的に形成されたまたは今でも順次形成されている研究所の美術関係各種アーカイブが今でも十分に有効であることをあらためて認識しました。
 今年度はひとつひとつの資料に綿密な考証を付し、なおかつ集めた資料から総合的に判断することによって、資料集の質を高め、対象へのより正確な理解へ近づこうとしています。その経過を本年度の第2回総合研究会で発表しました(7月10日、綿田稔「宗湛の研究」)。昨年度の美術部オープンレクチャー(10月28日、綿田「雪舟と宗湛」)で報告した内容より考証の進んだ部分が相当にあります。今後、まとまった成果を『美術研究』誌上に順次公表していく予定です。

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