ワークショップ「中央アジア出土壁画の保存修復」の開催

壁画片を収納した後で状態調査を行っている様子

 平成20年度から、東京文化財研究所は、タジキスタン共和国科学アカデミー歴史・考古・民族研究所と共同で、タジキスタン国立古物博物館が所蔵する壁画片の保存修復作業を行っています。本事業の一環として、12月5日から10日まで、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、トルクメニスタンから合計6名の保存修復専門家をタジキスタンに招聘し、同博物館においてワークショップを開催しました。
 中央アジアの遺跡では5世紀から12世紀の美しい壁画が発見されていますが、それらを保存修復することのできる専門家が不足し、保存修復活動が滞っています。また、この地域には旧ソ連時代に確立した壁画の保存修復方法が普及しているため、強化剤の劣化にともなう壁画表面の変色など共通の問題が発生しています。ワークショップでは、各国の参加者に自国における壁画の保存修復の現状を報告してもらい、また私たちがタジキスタンで行っている新たな試みを紹介し、実際に一連の作業を体験してもらいました。今後も同様のワークショップを開き、日本の専門家と現地の専門家が共に作業を行い、意見を出し合うことによって、中央アジアにおける壁画の保存修復活動の促進と、保存修復方法の改善を目指します。

to page top