「近代日本洋画の巨匠 黒田清輝展」を島根県立石見美術館で開催

島根県立石見美術館での黒田清輝展会場

 黒田清輝の功績を記念し、あわせて地方文化の振興に資するために、1977(昭和52)年から年1回、開催館と共催で行なっている「近代日本洋画の巨匠 黒田清輝」展は、今年度、島根県立 石見いわみ 美術館を会場として、7月18日(土)より8月31日(月)まで開催されています。重要文化財≪湖畔≫≪智・感・情≫をはじめ油彩画・デッサン等147点、写生帖、書簡などが出品され、初期から晩年までの黒田清輝の画業を跡づける展観となっています。
 石見は、明治の文豪森鷗外の出身地です。鷗外は、陸軍軍医として衛生学を勉強するため1884(明治17)年から1888(明治21)年までドイツに留学し、本務のかたわら美術館や劇場を頻繁に訪れて、芸術にも親しみました。帰国後、文筆活動の一環として美術批評も行い、黒田清輝が裸体画論争のなかで第二回白馬会に≪智・感・情≫を出品し、批評の的になった折には、この作品に敬服している一人であると発言しています。後年、鷗外は帝国美術院の初代院長となりますが、1922(大正11)年に鷗外が逝去すると、黒田がその後を襲い、二代目院長となるなど、鷗外と黒田はさまざまな接点を持っています。
 石見美術館では、黒田清輝展にあわせて森鷗外と関連する同館の所蔵作品を常設展示しています。黒田の作品や師ラファエル・コランの作品、鷗外の墓碑を書いた洋画家・書家中村不折の作品などが展示され、明治・大正期の文化人の交遊の一端を知ることができます。

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