伝統的な漆器生産技術に関する基礎調査

漆室(塗土蔵)
漆室内の環境調査

 保存修復科学センターでは、「伝統的修復材料および合成樹脂に関する調査研究」プロジェクト研究の一つとして、伝統的な漆器生産技術に関する基礎調査を継続して行っています。これまで浄法寺漆の生産で知られる岩手県二戸市周辺の旧安代町岩屋地区(現八幡平市)の小山田盛栄氏所有の漆室(塗土蔵で明治期~昭和初期まで使用)の現地調査を実施しました。この種の小規模で在地性が強い伝統的な漆室は全国的にも極めて稀少です。この土蔵内に残された一連の漆塗料や蒔絵材料、漆工用具の整理作業を通じて、これまであまり知られていなかった一つの工房内に帰着する漆器生産技術の流れが明確になり、ここの作業環境が漆塗りを行うのに適していることもわかりました。この調査結果は、今年度開催予定の国際研修「漆の保存と修復」の教材としても使う予定です。

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