研究会「文化財の生物劣化の非破壊調査と虫害調査、および修理における利用」

2009年11月20日の研究会の様子

 保存修復科学センターでは、文化財の生物劣化対策の研究の一環として、平成21年11月20日、研究所地下会議室において研究会を行いました。今回は、実際に現場に携わる専門家メンバー向けの研究会で、具体的な議論を十分に行えるよう円卓形式で行われました。まず、「日光山輪王寺本堂での隠れた虫害-対応と修理について」と題して、(財)日光社寺文化財保存会の原田正彦氏から、重要文化財でおそらく始めての例であるオオナガシバンムシの被害実例についてお話をいただき、また、(財)文化財虫害研究所の小峰幸夫氏より、虫害調査の実例について、詳細な報告が行われました。京都大学大学院の藤井義久氏からレジストグラフやアコースティックエミッションを用いた現場の調査について、そして九州国立博物館の鳥越俊行氏からは、文化財用X線CTによる実際の被害材の解析事例での内部の虫の検出についてお話いただきました。以上のことを踏まえ、今後の調査とどのように殺虫処理を行うかについて、基礎実験計画の立案や、今後の修理にどのようにそれらの結果を活用していくかについて活発に議論が行われました。(参加者15名)

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