早川泰弘東京文化財研究所副所長・高妻洋成奈良文化財研究所副所長 退任記念シンポジウム「分析化学の発展がもたらした文化財の新しい世界-色といろいろ-」の開催

シンポジウムのチラシ
早川副所長の基調講演
高妻副所長の基調講演
パネルディスカッションの様子

 近年、分析化学の発展によって文化財の新しい価値が発見されるようになってきました。文化財の科学的な調査研究・保存に長年携わってきた東京文化財研究所の早川泰弘副所長と奈良文化財研究所の高妻洋成副所長が2023年3月に退任されることを記念して、分析化学の発展がもたらした文化財の新しい世界を文化財の最も基本的かつ重要な価値の一つである「色」という切り口から改めて見返してみようという趣旨のシンポジウムを3月4日に開催しました(主催:東京文化財研究所・奈良文化財研究所、共催:日鉄テクノロジー株式会社)。
 当研究所のセミナー室にてシンポジウムを開催しましたが、さらに当研究所と奈良文化財研究所に設けましたサテライト会場におきましても多数の参加者にお集まりいただきました(参加者:69名(当研究所セミナー室)、36名(当研究所サテライト会場)、26名(奈良文化財研究所サテライト会場))。また、今回のシンポジウムではYouTubeによる同時配信を実施しましたが、こちらからも多くの方々に視聴していただきました(視聴者数:約155名)。
 早川副所長による基調講演「日本絵画における白色顔料の変遷」では、これまでの分析調査の結果に基づいた日本絵画に用いられている白色顔料(鉛白、胡粉、白土)の変遷に関する研究成果の紹介が行われました。高妻副所長からの基調講演「領域を超えて」では、文化財の保存科学では自らの専門性を磨きつつ幅広い視野を持ち、お互いに理解をし合いながら研究を行うことの重要性についてご講演をいただきました。また基調講演に加えて、文化財の「色」に関連した7つの研究発表、昼休みには各種分析機器の展示も行われました。そして、講演後のパネルディスカッションでは、文化財の色に関する分析の話題にとどまらず、文化財保存科学の今後の展望にまで及んだ活発な議論が行われました。
 東京文化財研究所、奈良文化財研究所、日鉄テクノロジーのスタッフが専門性や所属の垣根を越えて今回のシンポジウムの企画・準備をすることができましたのは、これまでの両副所長のご指導によるところが多大であり、そしてとても盛会なシンポジウムを開催することができました。

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