厳島神社における外観塗装材料の劣化に関する調査

曝露試験用手板試料の作成
手板試料の設置

 保存修復科学センターでは、「伝統的修復材料及び合成樹脂に関する調査研究」プロジェクトの一環として、厳島神社における外観塗装材料の劣化に関する調査を行っています。厳島神社といえば青い海に浮かぶ鮮やかな朱色の社殿のコントラストの美しさで広く知られていますが、何分海水と接する厳しい環境下に建造物自体が曝されています。そのため、せっかく塗装した朱色の外観塗装材料の黒化現象が比較的短時間で発生したことが関係者の間で問題となってきました。そこで保存修復科学センターでは、この黒化現象の原因追求を実験室レベルで行うとともに、厳島神社工務所の皆さんと共同で、これまで厳島神社の外観塗装材料として用いられてきたと考えられる数々の歴代の外観塗装材料を再現した手板試料を作成し、5月13日に実際の社殿の床上と海面と接す柱に設置しました。これから少なくとも1年間かけて厳島神社の環境の中で曝露試験を行い、外観塗装材料の劣化の様子を観察していくことにします。 この成果を厳島神社社殿の外観塗装を少しでもよりよい状態で保守管理するうえで役立てたいと考えています。

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