選定保存技術の調査2-琉球藍・和紙漉簀制作・左官

琉球藍(泥藍)
漉簀制作
ちりまわり(壁塗りの一工程)

 先月に引き続き、文化遺産国際協力センターでは、選定保存技術についての調査を進め、選定保存技術保持者、選定保存技術保存団体の方々から実際の作業工程やお仕事を取り巻く状況や社会的環境などについてお話を伺い、作業風景や作業に用いる道具などについても撮影記録を行っています。2014年11月には、沖縄で琉球藍製造、愛媛で和紙漉簀(すきす)制作、東京で左官の調査・取材を行いました。
 琉球藍は本土の藍とは植物の種類が違い、栽培や製造の工程も蓼(タデ)藍による藍染めとは大きく異なります。選定保存技術保持者である伊野波盛正氏と同氏の技術を継承されている仲西利夫氏より、最近の台風や天候不順が藍の生育に影響を及ぼしている状況や、藍の製造工程などについてお話を伺いました。
 愛媛では全国手漉和紙用具製作技術保存会会員で愛媛県伝統工芸士にも認定されている井原圭子氏より、漉簀制作の現状、材料である竹ひごや絹糸の調達、後継者育成の難しさなどについてお話を伺いました。
 また東京の伝統建築物復元工事現場において、中島左官株式会社による壁塗りの工程の一部を取材させて頂きました。伝統的左官技術は、全国文化財壁技術保存会が選定保存技術保存団体として認定されています。
 文化財はそのものを守るだけではなく、文化財を形作っている材料や技術も保存していく必要があります。この調査で得られた成果は、文化財の研究資料として蓄積していくと同時に、その一部は海外向けに視覚的効果の高い画像を使用したカレンダーという媒体を通じて、日本の文化財のありかた、文化財をつくり、守る材料、技術として発信していく予定です。

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