第28回近代の文化遺産の保存修復に関する研究会「洋紙の保存と修復」

研究会の様子

 保存修復科学センター近代文化遺産研究室では、11月21日(金)に当研究所セミナー室において「洋紙の保存と修復」を開催しました。当日は、元国立国会図書館副館長、現学習院大学非常勤講師をされておられる安江明夫氏、(株)プリザベーションテクノロジーズジャパン専務取締役横島文夫氏、(株)修護の主任技師小笠原温氏、メキシコ国立公文書館修復部門責任者アレハンドラ・オドア・チャベス氏、カナダ国立図書館公文書館紙美術品、地図文書修復部門主任アン・メイヒュー氏の5氏をお招きし、ご講演いただきました。安江氏からはアーカイブの視点から資料保存の取り組みに関する変遷等のお話を頂きました。横島氏からは大量脱酸処理に関するお話を伺いました。小笠原氏からは、現在携わっておられるノートの修復に関して問題点等を紹介頂きました。アレハンドラ・オドア・チャベス氏からは没食子インクによる劣化の状態と対処の方法についてのお話を頂きました。アン・メイヒュー氏からは酸性紙や没食子インクに対する処置に加えて、ゲランガムと呼ばれる材料を使った修復手法のご紹介が有りました。皆様それぞれ実践を踏まえたお話であっただけに説得力が有り聴衆の方々も熱心に耳を傾けていました。当日は予想したよりも多くの129名に上る方々がご参加下さり熱気に満ちた研究会となりました。

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