キルギス共和国及び中央アジア諸国における文化遺産保護に関する拠点交流事業

アク・ベシム遺跡出土土器の実測実習

 文化遺産国際協力センターは、文化庁の文化遺産国際協力拠点交流事業の枠組みに基づき、2011年度より、キルギス共和国及び中央アジア諸国における文化遺産保護への協力を実施しています。これまで、キルギス共和国において、「ドキュメンテーション」、「発掘」、「保存修復」、「史跡整備」をテーマに文化遺産保護に関連する分野の人材育成ワークショップを行ってきました。
 本事業の最終年度にあたり、本年は、7月に日本国内での史跡整備と展示に関する視察及びワークショップを実施し、それに引き続き、10月27日から11月1日までの6日間、第8回ワークショップ「展示と調査報告書作成に関する人材育成ワークショップ」をキルギス共和国のビシュケクで実施しました。このワークショップには、キルギスから12名の研修生が参加しました。
 キルギス国内の博物館は未だ十分な設備と人材が整えられているとは言い難いのが現状です。このため、ワークショップでは博物館における展示技法、照明や温湿度管理及び展示室の管理手法に関する講義を行いました。また、それに続いて、遺物実測や観察表作成等を含む報告書作成の技術についての講義・実習を行いました。あわせて、近年、考古学調査手法の多様化により、調査報告書に掲載される内容も多種の自然科学分析が含まれるようになってきたことから、2012~2013年度にかけて発掘研修を行ったアク・ベシム遺跡でサンプリングした動植物遺存体の分析手法に関する講義・実習も行いました。
 本枠組みでのワークショップ開催は今回で終了となります。しかしながら、キルギス及び中央アジア諸国の博物館や保存修復施設、史跡整備の現状を鑑みると、今なお文化遺産保護全般に関する国際支援が必要です。文化遺産国際協力センターは、今後もひき続き、中央アジアの文化遺産の保護を目的とした様々な文化遺産国際協力事業に取り組んでいく予定です。

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