粗苧製造技術の調査

剥いだ表皮を干しているところ(大分県日田市)

 無形文化遺産部では伝統的工芸技術を支える選定保存技術について情報収集及び調査研究を行っています。今回、重要無形文化財久留米絣を支える粗苧製造技術について無形文化遺産部の菊池が調査を行いました。
 久留米絣は大麻の茎の表皮である「粗苧(あらそう)」を用いて糸に防染を行います。現在、粗苧の材料である大麻は大分県日田市矢幡家で栽培されています。7月は粗苧製造の要である身丈より高くなった大麻を刈り取り、蒸す作業、皮を剥き干す作業行います。人手の必要なこれらの作業を一家族で担うのは簡単なことではありません。そのような中、一昨年度より久留米絣技術保持者会のメンバーも刈り取り等の作業を手伝う体制をとっているそうです。大麻取締法により入手が難しくなった粗苧は以前のように容易に手に入る材料ではなくなってしまいました。今後、このようなケースをどのように保護していくかを様々な立場から考えていく必要があるでしょう。

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